受容との戦い-fighting for acceptance

ジーンズ

先週末に夢中になって観たNetflixで配信中の「Queer Eye(クィアアイ)」。今回は、いろいろなことを感じ、考えさせてくれたこの番組を紹介しながら、ファッションに対する意識の持ち方、自信と受容の関係性についてなどおはなししたいと思います。

素晴らしい5人組

「Queer Eye」は、アメリカで2003年から2007年に放映されていたTVシリーズ「Queer Eye for the Straight Guy」 がオリジナル。

現在Netflix配信中のシリーズは、そのリブート版です。

設定はオリジナルとほとんど同じ。

Fab5(ファブファイブ)と呼ばれる5人のプロフェッショナルが、イケてない男性をファッション、インテリア、ライフスタイルとあらゆる角度から改造し、変身させてしまうリアリティショーです。

そしてこのFab5は、全員ゲイの男性。

映画queer eye

ちなみに、タイトルのQueerとは、「不思議な」とか「風変わりな」といった意味で、転じて同性愛者などセクシャルマイノリティーの総称となりました。元来、蔑称として使われていましたが、近年は肯定的に用いられています。

多様性の裏で

この番組の魅力は、驚きの変身劇はもちろんのこと、なんといってもFab5のポジティブで前向きな姿勢とまっすぐに放たれる言葉の数々。ゲイとしてありのままの自分として生きている5人は、多くの苦難や悲しみを乗り越えてきたからこその強さと明るさがあり、また、圧倒的な説得力を持っています。

舞台はアメリカ、移民の国。宗教、人種、ジェンダーと多種多様な人々が一つの社会をなしている多様社会。とはいえ、それぞれの違いを認め合い、お互いを100%受け入れているわけではないのが事実です。差別も偏見もリアルに存在しています。

そんな社会の中で人になんと言われようとまるごと正直な自分でいること。本来の自分の姿を見いだし、自信を持つこと。

自分を大切にするからこそ勇気を持って困難に立ち向かうこと。

Fab5は、そんな人生の歩み方を、おしゃれに、そしてユーモアたっぷりに教えてくれるのです。

自分のため、人のため

醜さは治せないと自分を否定し、だらしなく暮らすバツ3の男性。

コンプレックスを抱えた卯建のあがらないコメディアン。

自分の殻に閉じこもり前に進めないでいるデザイナー。などなど。

番組に登場するターゲットは、どこからみてもさえない男性ばかり。

手入れされることなく伸び放題の髪やヒゲ。

何十年も着ているよれよれのTシャツにだぼだぼのパンツ。

服装や髪型をその人にあったスタイルにするだけで、外見はもちろん内面もみるみるうちに変化していく様子が、なんとも爽快でおもしろい。

そして、Fab5の放つメッセージには、納得するばかり。

「ワードローブを充実させることに努めたら、あなたは決して自信をなくしたり、弱虫になったりしない。努力するってことは、あなたが望む人生に本気で向き合うということなのだから。」

「スタイルとファッションは違う。ファッションは流行りが終わればそこまで。だからファッションなんて放っておいていいの。でもスタイルは違う。スタイルとは、あなたが自信を持つために服を着ること。なにが似合うのか、年齢や体型に従って服を選んで着ることがスタイル。」

「おしゃれすることは、あなた自身のためだけでなく、周りの人、特に愛する人に敬意を払うためにすることでもあるのです。」

傷つきやすさは強みになる

変身させるターゲットに共通するのは、自分が楽でいられる方へと守りを堅めていること。自分を諦め、自分を大事にすることを忘れていること。Fab5は、さらに彼らの心に刺さる言葉の数々を残していきます。

「自信をもつことはセクシー(魅力的)なこと。

自分を知ることこそセクシー。」

「ゲイらしくないとか、男らしくないとかは、問題じゃなくて、大切なのは気持ち。どんな気持ちでいてほしいかって、とにかくあなたはそのままで十分素敵なんだよ、ってこと。」

「傷つきやすさは弱いということではなく、強さの裏返しです。傷ついているということは、いま自分を立て直しているということでもある。そして、その姿は男性にとっても女性にとっても、とても魅力的に映るものです。」

このQueer Eyeには、誰もが持っている不安や弱さに寄り添い、自信を満たしてくれるメッセージに溢れています。そして、番組の中の人が変身するだけでなく、視聴者も前向きな気持ちにさせてくれるのです。

fighting for acceptance

自分が自分を受け入れていなければ、他人を、社会を受け入れることはできない。それがこの番組が伝えたいテーマのひとつです。自分を受け入れることに悩み苦しみ、その苦難を乗り越えたFab5は、どんな見た目であろうが、どんなだらしない生活をしていようが、ターゲットである男性をまずは受け入れ、耳を傾け、本来の姿を見いだし、彼らの背中を押します。そして、男性たちは自信に満たされ、自分のことを受け入れ、魅力的なひとりの人間として新たな一歩を踏み出します。

アメリカだけでなく全世界が多様性のあり方を模索している昨今。

それは、受容性・寛容性がどういうことなのかを模索しているということ。

Fab5に従うなら、自分に向き合ってはじめてその糸口がみえてくるのかもしれません。

なんだかんだ、と・に・か・く!

この番組、おもしろいのです。

Fab5がチャーミングで笑える場面もたっぷりです。

そうそう、前回のブログで取り上げたスリムフィットなパンツの魔法も存分に披露されているので、ぜひ!

視聴の際は、断然絶対字幕版がおすすめ。

日本語吹き替えは、セリフの表現方法に疑問ありです…。

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